2023/05/11 12:13

こんにちは、今回は「コム デ ギャルソンとノイズミュージック」というテーマでお話ししたいと思います。

まず、ギャルソンとは日本を代表するファッションブランドのひとつであり1973年に設立されました。創設者である川久保玲はファッションの常識を覆す斬新なデザインで世界中から注目されています。

オノ・セイゲンは、川久保玲から「洋服が綺麗に見えて誰も聴いたことがない音楽」という要望を受け〈コム デ ギャルソン〉のショー用の音楽を制作しました。その後も、数々のアーティストを手がける国内外で活躍するレコーディングエンジニアとして知られ音楽家としてのキャリアも長く川久保玲からのリクエストに応えて当時の未発表楽曲を収録した『CDG Fragmentation』を制作しています。

ここで注目したいのが「ノイズ」に関する考え方です。川久保玲は、「“音”は使用するが“音楽”ではない」というリクエストをオノ・セイゲンに出しました。これは、音楽にはルールやメロディ、リズムなどの要素が必要であるという一般的な認識とは異なりノイズとしての音を尊重していると言えます。

ノイズとは雑音や不快な音のことを指します。しかし、ノイズミュージックではそのノイズを音楽の素材として扱い新しい音楽表現を生み出します。ノイズミュージックは1960年代にアメリカで発展したジャンルで、日本でも高橋悠治やメルツバウなどのアーティストが活躍しました。

川久保玲の「“音”は使用するが、“音楽”ではない」という考え方は音楽における既成概念を覆すものであり新しい音楽表現を求める姿勢が窺えます。オノ・セイゲンが制作した〈コム デ ギャルソン〉のショー用音楽も、そのノイズを音楽の素材として扱い斬新なサウンドを生み出しています。そのような独自性が評価され現在でも世界中の人々から愛され続けています。また、コム デ ギャルソンのコレクションに合わせた独自の音楽を制作するという姿勢はファッション業界だけでなく音楽や芸術、デザイン、広告などの様々な分野で注目され影響力を持つようになりました。

また、オノ セイゲンが手がけた音楽は従来の音楽にはない新しい要素を持ち合わせていました。ノイズミュージックは従来の音楽の概念にとらわれない異質な音を激しく重ね合わせた音楽です。そのため、耳に馴染みのない不協和音や歪んだ音が多用され聴き手にとっては非常に刺激的な体験となります。

ノイズミュージックは単なる騒音や不快な音楽ではありません。むしろ、その異質な音楽性や新しい音響の可能性がアーティストたちにとって独創的な表現の場を提供しました。また、ノイズミュージックは音楽という媒体を通じて社会問題を表現することもあります。例えば環境問題や戦争の傷跡などを音楽で表現するアーティストもいました。

オノ セイゲンの音楽はファッションと音楽を融合させたコム デ ギャルソンのショーにおいて異質な音楽性やノイズミュージックの要素を取り入れファッションと音楽の新しい可能性を広げることに成功しました。彼の音楽性は今後のファッションや音楽シーンにも大きな影響を与え続けることでしょう。