2023/05/09 11:26

イギリスの音楽シーンで最近盛り上がっているジャンルとして、「UKドリル」が注目を集めています。このジャンルは、2010年代半ば以降、イギリスの音楽シーンを席巻したグライムリバイバルの勢いに変わって台頭しました。

サウスロンドンで2012年(もしくは2014年)に誕生したと言われており、シカゴ発祥のヒップホップジャンル「ドリル」と、イギリスのギャングスタラップやロードラップと呼ばれるスタイルの影響を受けています。特徴としては、ギャングスタラップ的なバイオレンスなリリックが多く、さまざまな音楽ジャンルの影響を受けています。

UKドリルのトラックは、シカゴのドリルよりも早いテンポであり、重たいキックやスライドベースと呼ばれる太いベースのピッチをスライドさせたベースライン、ダークなメロディー、早いテンポでパーカッション的に打たれるスネア、ハンドクラップなどが特徴です。また、UKドリルのミュージックビデオでは、よく地元のフッドやモブ、団地、高級車などが映し出されます。

当初はギャングのメンバーや荒れた地区の住人などが関わるアンダーグラウンドなジャンルでしたが、サウスロンドンのグループ「67」がそれを音楽的に磨き上げ、ジャンルとして確立しました。彼らの曲「Lets Lurk」や「Take It There」は、UKドリルシーンの黎明期を代表する曲として知られています。

最近ではHeadie Oneが代表的なアーティストとして知られています。彼は昨年、デビューアルバム『Edna』をリリースし、UKアルバム・チャートで初登場1位を獲得するなど、シーンのキングとして多大な影響力を持っています。さらに、UKドリルと近いグライムシーンのスーパースターであるStormzyとのコラボレーションも話題となっています。

また、UKドリルの人気はイギリス国内だけに留まらず、インターネットを通じてアメリカのヒップホップシーンにも広まっています。特に、ブルックリンのラッパーであるPop Smokeは、UKドリルの影響を受けた「ブルックリン・ドリル」の第一人者として知られています。彼の曲「Dior」は、UKドリルのプロデューサーである808 Meloが手がけたヒット曲であり、世界中のヒップホップファンから広く支持を受けました。

UKドリルを制作する際の参考となるTipsやサンプルパックもあります。例えば、スライドベースの作り方を解説した動画や、ベーシックなUKドリルトラックの制作方法などが紹介されています。これらのリソースを活用することで、より本格的なUKドリルの制作に取り組むことができます。

イギリスの音楽シーンにおいて新たな息吹をもたらし、現在のヒップホップジャンルとして大きな注目を浴びています。その特徴的なサウンドとリリックは、若者を中心に広く支持され、UKドリルアーティストたちはますます人気を集めています。今後もUKドリルの発展とさらなる国際的な影響力の拡大が期待されます。